

山梨県を横断する甲州街道沿いには、史跡や文化財が多く点在し、当時の人々の生活や文化を感じられます。
本記事では、江戸時代の甲州街道の役割や特徴、現代に受け継がれる魅力や散策コースを解説します。古道巡りに必要な持ち物や楽しむポイントも紹介しますのでぜひ参考にしてください。
江戸時代、幕府が整備に力をいれたのが五街道です。甲州街道は五街道のひとつです。徳川幕府は江戸城にもしものことがあった場合の逃げ道として、甲州街道の整備に力を入れたといわれています。
ここからは、甲州街道の歴史と特徴を詳しく解説します。
徳川家康は「物流」と「情報網の確保」を地政の要とし、主要な五街道(東海道、中山道、甲州街道、奥州海道、日光海道)を管轄下に置くため、街道の整備に取り組みました。
江戸城に何かあった場合の逃げ道として、甲府までの道筋が整備されたことから甲州街道には45もの宿場があります。
1716年には「甲州道中」の呼び名で統一されましたが、明治政府により「甲州街道」に改められました。
山梨県内をとおる甲州街道では、石和、甲府、韮崎を中心に商業が栄えました。甲府産の綿やブドウを江戸に運ぶ商人で賑わった面影をそのままに、現在でも観光スポットとして人気があります。
山が多く川を使った輸送がむずかしく、牛や馬の飼育も盛んであったことから、荷物の運搬に牛や馬を使いました。「伝馬」や「中馬」など陸上での輸送が発達し、韮崎宿には馬宿も多く設置されました。
甲州街道の45ある宿場の内、25箇所は山梨県内に位置します。現代も当時の面影が残る、宿場町の魅力を見ていきましょう。
大月宿は、現在のJR大月駅周辺を起点としており、史跡も多く点在しています。
大月の総鎮守である「三嶋神社」には大月記念碑があります。かつて境内にあった「大槻」と呼ばれるケヤキが、大月の地名の由来です。
またJR大月駅から旧甲州街道を15分ほど歩くと「駒橋宿」、さらにそこから20分ほど歩くと「殿上の一里塚跡」があります。江戸時代に思いをはせながら散策するとさまざまな発見があるでしょう。
韮崎宿は身延道と信州道の分岐点であり交通の要所でした。商品の物流において、大きな役割を持ち多くの人々で賑わっていました。当時の賑わいをそのままに今の本町通りへと発展したといえます。
かつては馬宿も三十件以上あり、現在も馬つなぎ石が多数点在しているのも面白く、馬での移動が栄えていたことがうかがえます。韮崎宿本陣跡地を中心に、さまざまな史跡が残っています。
勝沼は甲州ブドウの産地で、1200年ごろから栽培されており日本最古のブドウ生産地といわれています。江戸時代、甲州街道の整備に伴い勝沼宿場として栄えましたが、農家へと移行する人が多く現在はその痕跡は少なくなっています。
また、江戸時代には絹紬の生産量が増え、この糸を原料にした「郡内織り」が甲州街道を通って江戸に広まりました。
ここからは、甲州街道で歴史を感じるモデルコースを日帰り、1泊2日の2パターンご紹介します。
甲府周辺の甲州街道と歴史を巡るコースを紹介します。
9:00 JR甲府駅到着
10:00~11:00 甲府城跡(舞鶴城公園)散策
11:30~ 甲府柳町周辺散策
甲州街道を東に進み石和宿へ(1時間~1時間半)
金比羅神社や甲斐善光寺、青梅街道への分かれ道、道標などが点在しており、甲州街道の当時の面影を感じられます。
歴史と絶景を楽しむ山梨観光コースを紹介します。
【1日目】
午前 JR猿橋駅到着:大月市郷土資料館、殿上の一里塚跡などを散策
昼食
午後 旧甲州街道を歩いて大月駅へ移動
途中「駒橋宿」や「三嶋神社」、大月駅から少し進むと「下花咲の一里塚」もある
夕方 宿泊場所にチェックイン
【2日目】
午前 大月駅から富士急行線で河口湖駅へ移動:河口湖周辺は観光スポットやお土産を買える場所も豊富
午後 河口湖駅からシャトルバスで「富士眺望の湯 ゆらり」へ:露天風呂や種類豊富な内湯、食事を楽しむ
春には街道沿いや周辺の山々で桜や桃の花を楽しめます。甲府・石和では生産量日本一の桃や、勝沼では桜並木が続くスポットもあり日本ならではの華やかな風景が見られます。
夏にはフルーツ狩り、秋には紅葉や秋の味覚を楽しめます。
冬には雪が降り積もり、甲州街道も幻想的な雰囲気に。積雪状況により、足場が悪くなることもあるため、防寒対策や滑りにくい靴を選ぶなどの準備が必要です。また、温泉地で雪見風呂を楽しむのもおすすめです。
甲州街道の古道巡りは、歴史好きの方にとって宝探しのように感じられるでしょう。宿場町の本陣跡や脇本陣跡の石碑、風格ある建物などに当時の面影を見つけられます。
事前に古地図などを入手し持って歩けば、当時の様子をより想像出来るのではないでしょうか。
街道沿いには、一里塚や道標、追分、松並木などが残っている箇所もあり、地図がない当時の人々の暮らしを体感できるでしょう。
甲州街道は、歴史的な魅力だけでなく、家族連れでも楽しめるポイントも満載です。特に、甲府周辺には比較的平坦で歩きやすい区間が多く、小さなお子様連れでも散策できます。途中、公園や整備された東屋など休憩できる場所もあります。
また、街道沿いの老舗の和菓子屋さんで一息ついたり、地元の特産品を味わったりするのも家族旅行の素敵な思い出になるでしょう。
古道巡りの疲れを癒やすには、温泉に入るのがおすすめです。甲州街道周辺には日帰り入浴が可能な温泉施設も点在しています。
甲州街道から少し足を伸ばしますが、富士河口湖近くにある「富士眺望の湯 ゆらり」は、晴れの日には露天風呂から富士山を一望できる絶景の温泉として人気があります。
道の駅や河口湖の観光もできるため、山梨を体感したい方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
甲州街道の古道巡りを楽しむなら、事前準備が欠かせません。持ち物のチェックリストとアクセス情報、注意点を確認しておきましょう。
長時間古道巡りをされる予定であれば、荷物はなるべく少なく軽くすることがポイントです。
とはいえ、天候に合わせて帽子や日傘などの日差し対策グッズや、羽織などの防寒グッズは適宜準備が必要です。
市街地以外の街道沿いは、飲食店などがないケースも多々あります。お腹がすいてしまった場合に備えて、軽食を持って行くのがおすすめです。
アクセス方法は目的地によって異なります。
甲府周辺や大月駅へは、JR中央本線を利用するのが便利です。甲府駅へは新宿駅から特急を利用して約1時間半で到着します。
路線バスを利用する場合、本数が少ないスポットもあるため事前に本数を確認し、時刻表を印刷して持って行くと安心でしょう。
また自動車の場合は、中央自動車道を利用して、甲府昭和ICや大月ICなどで降ります。市街地以外を目的地にする場合、道幅が狭い、駐車場がないというケースもあるため事前に確認しておきましょう。
江戸時代に整備されてから、甲州街道は地域の人々にとって商業や文化の発展に欠かせないものでした。
今もなお、その面影は随所に残っており、街道沿いを実際に歩くことで歴史を体感できるでしょう。
本記事では、山梨県内を通る甲州街道の見どころを解説しました。
歴史を感じる旅をしたい方は、本記事を参考に甲州街道を歩いてみてはいかがでしょうか。
